令和6年 司法試験 経済法 再現答案

司法試験再現答案
OSHIN
OSHIN

作成日時2024.7.17 20:30です。

第一問 答案構成15分 4枚 予想評価Ⅽ

・いつもの談合違って、形式的競争関係にある者同士でないから、「他の事業者」要件でこれを拾うんだろうと考えたが、問題文のメーカー9社から販売業者9社が資本関係は無いけど指示を受けて入札に参加してたという事情は、Z=Xとして評価するべきなのか、それともそもそも「他の事業者」要件でなくて他の要件で検討するのか?とか色々考えたけどわからないから適当に規範かいて論理全く飛躍してるし、意味わからんけどそのまま認定した笑。多分メーカー9社=販売業者9社として検討するのが適切なんじゃね?知らんけど…。

・かなり書き進めた段階でⅩ2社の離脱を書き忘れたことに気づき、弊害要件の検討した後にぶち込むというかなり破天荒で不適切なやり方で乗り切った(乗り切れてない。)。しかも、Ⅹ2社に離脱を認めながら、離脱したR5年12月7日~立入検査までのR6年6月27日間の行為については行為者とならないという事情に気づかず、全体として違法的なニュアンスで書いたので×やろな。

・アガの論証集で、他の事業者は、そいつがいなければ談合が成立しない場合も満たす適菜ことが書いてあった気がして、それを意味わからんまま使ったw。

・課徴金は首謀者が+1.5%だったなと思ってたけど、適用条文が見つからないのと、時間がないのとで、適当にそれっぽい条文引いたけど違うやろな笑。

OSHIN
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第二問 答案構成15分 4枚 予想評価D

・直接単独の取引拒絶として、ガイドラインに沿って、違法性があるとされる2パターンを出したはいいが、これだと自由競争減殺の当てはめを一切行えないことが怖くて、結局不当目的達成手段にあたるとしなかが、たしか市場閉鎖効果があることも認定した気がする…。

・市場確定が意味わからんかったし、確か行為ⓐⓑは適用条文同じだし、行為態様も似てるからまとめて、Ⓒだけ別立てして書いた記憶なんだけど、うーんかなりの確率で間違っていると思う。

設問1

第1 メーカー9社、Y社及び販売業者9社による本件取決めは、独占禁止法(以下略)2条6項に該当し、3条後段に反しないか。

1.メーカー9社は甲製品の製販事業、Y社は卸売販売業、販売業者9社は販売事業という「工業」ないし「商業」をそれぞれ行う「事業者」(2条1項)である。

2.

⑴「他の事業者」とは、独立した事業者同士が、形式的競争関係にあればよい。そして、取引段階を異にするとしても、実質的競争関係にあればよく、当該事業者がいなければ談合が成立しないような場合もこれに含まれると解する。

⑵販売業者9社とメーカー9社は取引段階を異にするから、形式的競争関係はないものの、両者に資本関係がなく、甲製品販売についてメーカー9社から支持を受けて、入札に参加していたこと、売上額から一定率のマージンを受け取っていたことを考えると、本件取決めに不可欠な者同士であって、「他の事業者」といえる。また、Y社も、取引段階を異にするが、どのメーカーから卸売りするかを自由に決め、それを販売業者に売ることを生業とするから、実質的に競争関係にあり、本件取決めに不可欠な者として、「他の事業者」といえる。

3.「共同して」とは、意思連絡を意味し、事業者又は事業者団体が、相互に供給予定者及び落札価格等を認識ないし予測し、これを歩調をあわせる意思があることをいう。かかるに認識は明示的でなくとも黙示になされれば足りる。そして、本件取決めのような談合においては、基本合意が意思連絡の対象となる。

⑴本件取決めでは、Y社がメーカー9社と個別に面談して作成した入札一覧表を提供し、それに基づいてメーカー9社はY社に受注希望の有無を伝え、Y社が供給実績等を勘案して、各入札ごとにメーカー9社のうちいずれかを供給予定者として決定し、各メーカー9社は自らが指示する販売業者にその入札価格を提示させることを基本合意としている。そうすると、メーカー9社、Y社、販売業者9社は、相互に供給予定者及びその落札価格等を認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思がある。確かに、メーカー9社間では各入札につき直接の連絡交渉をしないが、上記の通り、認識は黙示的なもので足り、Y社が必ず落札販売業者と供給予定者の間に仲介に入って取引することが予定されているから、この点は問題とならない。よって、「共同して」を満たす。

4.「相互に拘束」とは、拘束の相互性及び拘束の共通性を意味し、前者は事実上、合意を遵守し合う関係にあればよく、後者は目的が共通であればよいと解する。本件取決めによって、メーカー9社、Y、販売業者9社は、本来であれば、各自自由に入札価格を決定して自由に取引できるのに、これに拘束されて遵守しなければならない状況にあるから、拘束の相互性がある。また、目的は、メーカー9社、Y社、販売業者9社は、Yの調整によって各自が直接連絡をせずに、最大限の利益を上げるという共通の目的のもとに本件取決めを行っているから、拘束の共通性もある。 よって「相互に拘束」を満たす。

5.「競争を実質的に制限」とは、市場の有する競争機能を損ない、価格・数量・品質その他各般の事情をその意思である程度自由に左右し得る状況をもたらすことをいう(以下、「市場支配力の形成」)。そして、談合においては、「価格…各般の事情」を「入札予定社および落札価格等」に変換する。また、市場支配力の形成を検討する前提として、市場を画定する必要がある。「一定の取引分野」とは、競争がされる市場を意味し、通常は需要の代替性を主として、補充的に供給の代替性を考慮してその商品及び地理的範囲を決するが、本件取決めのような談合においては、取決め対象がそのまま市場となる。

⑴本件取決めの対象は、中部地区に所在する55団体の甲製品の指名競争入札であるから、これがそのまま市場となる。

⑵まず、全国における甲製品市場においては、メーカー9社以外にメーカーが存在する物の、そのシェアは合計約9割を有するから、本件入札市場においても、9割以上おシェアを有していると考えられ、市場における非常に有力な事業者である。また、本件取決め後の令和3年4月頃から令和6年6月28日までに実施された甲製品の入札200件のうち、本件取決めに基づき決められた供給予定者が落札したものは180件という全体の9割に上り、入札市場において落札した割合も高い。さらに、残りの20件についても、Yがアウトサイダーの入札価格を見誤ったという過失によって、落札ができなかっただけで、本来であれば、200件全部について落札可能な状況にあったといえる。このような状況に照らせば、アウトサイダーからの競争圧力が機能していたといえる余地はなく、むしろアウトサイダーが協調的行動をとることすら想定される状況にあったともいえる。そうすると、上記市場において、メーカー9社、Y社、販売業者9社が市場支配力を形成したとして、「競争を実質的に制限」を満たす。

6.この点、令和5年10月13日時点で、Ⅹ2社が本件取決めから離脱して、違法性を免れるか問題となるも、以下の通り否定される。

⑴合意からの離脱が認められるためには、離脱者が内心において離脱を決意するだけでは足りず、少なくとも他の事業者が離脱者の言動等から離脱の事実を客観的に認識し得るに足る事情が必要である。本件では、同日時点で、Y社の入札価格に従わず、独自に安い入札価格を提示させて、落札しているが、これは客観的に他の事業者が離脱意図を認識するに足りない。離脱が認められるのは、Ⅹ2社が同年12月7日時点で自社メーカー以外とY社の各担当者に対して今後は独自に落札する旨の意見を明確に表明した時点である。

⑵もっとも、不当な取引制限の実行の着手時期は、基本合意たる意思連絡がされたときであって、その時点で既遂に至るから、その後に離脱したとしても違法性を免れることはできない。

7.1条の究極目的に反しない事情があれば、正当化される余地があるが、本件取決めがメーカー9社及びY社の事業上の合理性のために締結された以上は、これに反する。

8.以上より、メーカー9社、Y社、販売業者9社による本件取決めは、2条6項にあたり、3条後段に反して違法となる。もっとも、令和6年6月28日に公取委が立入検査を行い、それ以降は本件取決めに基づく行為がされていないから、立入の前日である27日が違反行為の終期となる。立ち入り前日までは違反行為をなしうるからである。

第2 課徴金について

1.Y社は、本件取決めにおいて、入札一覧表の提供や、必ず落札販売業者と供給予定者の間にはいって卸業を行うものとされているから、主導的な地位にある者として、加重要件が課される。※条文は何引用したか忘れた。

2.そうすると、本件取決めによる売上額10億円×10%×1.5%によって算出した1億⑤千万円が課徴金算定額となる。

設問2

1.X社の各行為のうち、 ⓐZへのα販売を停止する通知をした行為が単独・直接の供給拒絶(2条6項9号イ、一般指定2項前段)ⓑ両地域内のαを利用する各医療機関に対し、αの供給を停止する通知をした行為も単独・直接の供給拒絶(2条6項9号イ、一般指定2項前段)Ⓒ新型γではⅩ社製αは利用できないと説明した行為につき、取引妨害(2条6項9号へ、一般指定14項)にあたり、19条に反しないか。


2.Ⅹ社は、αを含む多数の放射性医薬品を製造販売する「事業者」(2条1項、19条)である。

3.ⓐⓑについて

 ⑴Ⅹ社は、αを全国的に供給する「事業者」Z及び両地域内の各医療機関に対して、Zが社製αについて地域ごとに価格差を設けて取り扱うことに応じた場合また各医療機関がY社製αを利用した場合にはそれぞれα供給という「取引」を停止してこれを「制限」したといえる。

 ⑵
ア「不当に」とは、「公正な競争を阻害するおそれ」(以下、「公正競争阻害性」)(2条6項9号柱書)があることをいい、取引拒絶のような競争者排除型の行為については、自由競争減殺(市場閉鎖効果として、代替的取引先を見つけることが著しく困難又は不可能になるおそれ)を生じるおそれがあるか否かによって判断する。もっとも、直接・単独の取引拒絶においては、原則として取引先選択の自由としてそれが尊重されるべきであるから、取引拒絶がⅰ違法な行為の実効性を確保するための手段としてされる場合又はⅱ不当目的達成手段として行われる場合でなければ、違法性を有しないと解する。
イ(ア)これらを検討する前提として、市場を画定する必要があり、市場は主として需要の代替性、補充的に供給の代替性を加味して決する。
(イ)αは、特別な放射線医療装置βを検査に利用するときに用いられる医薬品で、βとαを用いたβ検査は、悪性腫瘍をはじめとする疾病の発見に非常に高い精度を示し、それ以外の検査で発見できないものを見つけることができるとして、αはその需要に代替性がないから、β検査に用いるαが商品として画定される。また、αは全国を12の地域に分割して、各地域内に製造拠点から製造販売される体制がとられているから、両地域とその他の地域間でその需要と供給は代替しえないから、地理的範囲は両地域で画定される。
よって、市場は、両地域内におけるαの製販市場となる。
ウ 上記市場内でⅩ社は、自分だけがαの製販事業者として独占的地位を確保していたところ、Y社がα製販を可能にしたことで立てた経営方針⑴に対抗するためにⓐⓑに出たと考えられる。そうすると、Ⅹ社は、専らライバル社であるY社を排除するという不当な目的達成手段として、Zとの取引を拒絶しようとしているから取引先選択の自由としてこれを尊重すべきではない。市場閉鎖効果についてみるに、ⓐⓑによって、実際にZはY社製の方針⑴に基づくY社製αの取り扱いをちゅうちょしたこと、また、両地域内の各医療機関は低価格が魅力的であると思いながらも、今後Ⅹ社から安定的にαの供給を受けられないことを懸念して、Y社からのα購入を断念するものが多かったこと、両地域内の低価格販売によるY社製αの売り上げは予想を大きく下回っていることからすれば、上記市場において、Y社は代替的な取引先を確保できずに、排除されるおそれが高い状況にあるといえる。
よって、市場閉鎖効果が認められるから「不当に」といえる。

4.Ⓒについて

⑴.Ⅹは「国内において競争関係にある他の事業者」Y社と「その取引の相手方」たる両地域内の各医療機関「との取引について」、Ⓒによって、新型γには広く普及したⅩ社製αを使えないことを示唆することで、その取引を「妨害」している。

⑵「不当に」とは、取引妨害においては、自由競争減殺又は競争手段の不公正さを意味し、当該妨害行為が、欺罔や強迫といった専ら自由競争の枠外にあるような不当な手段を用いている場合には、市場確定をせず、後者によって判断するものと解する。
本件では、Ⅹは新型γに関して何らの検査等を行わず、明確な根拠なくしてⒸという行為に出ている。そして、その結果、新型γはそれが高性能であることから導入を検討する医療機関があった一方で、安定的なⅩ社製αが利用できないことを懸念して新型γを取りやめるものもあり、販売実績が想定水準を大きく下回るに至っている。これは、何らかの自由競争的手段として許容されるものではなく、欺罔に準じた不当な手段として、強制手段が不公正であるとして、「不当に」を満たす。
また、仮に競争手段が不公正でないとしても、両地域内で安定的なα供給を望む医療機関が多いことを背景にして新型γでⅩ社製αが利用できないことを示唆すれば、新型γを販売するY社が代替的取引先を見つけることができず、r市場から排除される恐れが高いから、自由競争減殺効果が認められるから、「不当に」を満たす。

5.なお、上記の通り、ⓐ~Ⓒは不当目的達成手段として、1条による正当化の余地はない。

6.以上より、ⓐ~Ⓒは、それぞれ19条に反するから、違法である。     

以上

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