
答案構成15~20分 8枚みっちり 予想評価B~A 作成日時2024.7.17 14:30 です。
【反省点】
・やはり設問1に時間割きすぎて、設問2の特に捜査②が時間足りず雑に。
・刑事系は書こうと思えば当てはめ腐るほど評価できるけど、全体を俯瞰して歯止めを聞かせるべきだった。後半の設問に自信がないわけではないならなおさら時間配分を徹底。
・覚せい剤というワードが頻出するから、シャブという略誤を使った。司法試験の答案的に「シャブ」というワードで代用することが適切だったのかわからんかったが、時間足りないなかでそんなことも言ってられず、シャブを多様したw。
・捜索に至っているかの判断が微妙で、毎回強制処分に当たるとしても、問題文の必要性事情が拾えないことが怖くて、「仮に強制でないとしても」として任意処分まで検討しちゃうけど、マジ時間の無駄。
・稀釈化事情は密接性の有無で検討→関連性はその後軽くという認識でいたが、二分するのは不適切か、わからん。
・強制処分の規範定立時点で、相手方の明示の反対意思がない場合を想定して、「相手方の明示的な意思がない場合でも、合理的に推認される意思に反すれば足りる」ってのを忘れた。
・設問2捜査②で、玄関前が公道からも見える以上は、私的領域に準じた重要な権利性を満たさない→これをいくら強度に侵害していても、要件にあたらない→侵害の程度は任意処分で検討すべきというロジックで書いたが、多分明らかに×。授業で、室内録音は重要な権利である以上、いくら侵害の程度が弱い事情が問題文にあっても、強制処分にあたるってのをやったから、今回はこれを逆だから強制処分にはあたりえないのかなーって思ったけど、2ヶ月毎日24時間撮影は、あきらか強制処分で書けって誘導だよねえ。
・任意処分の限度を超えた時の処理って、違法だからアウトで終わっていいのか?でも強制処分該当性を否定している以上は、令状主義云々の話は出てこないよな。
設問1
1.鑑定書の証拠能力が認められるためには、その前提となった証拠収集活動たる職務質問(警職法2条1項)及び所持品検査が適法であることを要する。明文はないが、司法の廉潔性及び将来の違法捜査抑止の観点から、①証拠収集手続に令状主義(憲法35条1項、刑訴法(以下略)218条参照)の趣旨を没却するような重大な違法があり、かつ②将来の違法捜査抑止の見地から排除が相当である場合には、違法収集証拠排除法則(以下、「排除法則」)の適用によって証拠能力が否定されるからである。そして、直接の証拠収集手続に重大な違法がないとしても、先行手続に重大な違法がある限り、それと密接な関連性を有する証拠は、排除法則の適用によって、その証拠能力が否定されると解する。
2.
⑴職質について
Pが甲に対して職質を開始した時点で、甲は異状に汗をかき、目をきょろきょろさせ、落ち着きがないなど、覚せい剤(以下、「シャブ」)常用者の特徴を有するとともに、シャブ使用の前科があったことが判明していることから、甲はその「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して」シャブ使用という「犯罪を犯し…たと疑うに足りる相当な理由のある者」(警職法2条1項)であったから、Pがこれを「停止」させて職質したという行為は適法である。
⑵所持品検査について
ア 明文はないが、職質と密接に関連し、その有効性を上げるうえで有用なものとして不可分な行為として所持品検査は原則として任意の同意がある限り認められる。もっとも、同意がない限りこれをなしえないとすると、捜査権が著しく限定されるから、警察比例(警職法2条3項参照)の原則にてらし、同意がない場合であっても、ⅰ捜索に至らない程度のもので、かつⅱ強制にわたらない限り、例外的に許容される。ここにいう「強制」(197条1項但書)とは、㋐個人の意思を制圧して、㋑相手方の重要な法益を実質的に制約・侵害するものをいい、仮にこれにあたらないとしても、警察比例の原則より、捜査の必要性と被侵害利益の内容・程度を考慮して、具体的状況下で相当な限度で許容されるものと解する。
イ まず、本件では、甲がPの質問に答えずに逃げだし、その後「任意じゃないんですか」といって拒否的な態度であることから、任意の同意はない。
ウ もっとも、上記ⅰⅱを満たせば、例外的に所持品検査を成し得る。
本件では、甲が「任意じゃないんですか」といって拒否的態度を示していたのに対して、Pは「そのかばんの中を見せろ」といって無理やり本件かばんのチャックを開け、その中に手を差し入れ、その中を覗き込みならが、その在中物を探る行為にでている。これは、強制的に物を探知する捜査として「捜索」(218条1項)に準じるものである。また、上記行為に甲は拒否しており(㋐)、甲のかばんの中身という「所持品」(憲法35条1項)の保障するプライバシー保護の要請が強い重要な法益を、のぞきみながら手を差し入れて探るという態様によって強度に制約している(㋑)から、「強制」の処分にあたる。仮に、これにあたらないとしても、かばん内部の注射器等の特徴を有するものを発見したいならば、かばんの外側から触れる、手を入れずに甲に同意を得て内部を視認するというより侵害態様の小さい手段があった以上は相当性も欠く。
ウ よって、例外要件を満たさないから、所持品検査は違法となる。
3.では、所持品検査の違法は重大か、また鑑定書と密接関連性を有するか。
⑴重大性について
本件では、本件かばんから注射器を発見するに至る経緯を記載した捜査報告書②(以下、「報告書②」)について、本件かばんのチャックを開けたところ注射器が入っていた旨の記載をするだけで、Pが上記の通り無理やり手を入れて内部を探り、書類の下から同注射金を発見したという事実について記載されていなかった。そうすると、作成者Pとしては、かかる捜査態様が違法であると認識しつつ、これが令状裁判官に知られた場合の責問を避ける意思があることがうかがわれ、また上記事情を隠したいという有意性があったといえる。そして、報告書②とは違って、報告書①には甲が前科持ちで多数の客観的な嫌疑があることを強調して、あたかもPによる両報告書が信頼に足るものであることを裁判官に認識させたい意図もうかがえる。さらに、上記のとおり、Pは所持品検査に際して、より制限的でない手段をとりえたのに、無理やり探るという行為にでており、適法な捜査からの逸脱程度も大きいといえる。
以上より、所持品検査の違法性は重大である。
⑵密接関連性について
ア密接性
鑑定書の鑑定対象たるポリ袋内の結晶は、報告書①②を疎明資料として発布された捜索差押許可状によって捜索された本件かばんから発見されるに至っている。確かに、報告書②だけでなく、適法な捜査を基に作成された報告書①も疎明資料とされ、令状裁判官の司法審査も介在しているから、稀釈化事情があるとも思える。しかし、捜索の対象は本件かばんと限定されており、裁判官は報告書①のみならず②を重視して令状発布したと考えられること、司法審査の介在それ自体が重要なのではなく、報告書①の他には適法な疎明資料が複数あるわけではないことに照らせば、違法性が稀釈化される事情は見当たらない。また、本件では、令状捜索がなくとも本件かばんの中にシャブがあることについていずれ発見されたという不可避的発見の法理が適用されるような事情もない。よって、稀釈化事情がない本件においては、所持品検査と鑑定書が密接性を有するといえる。
イ関連性
鑑定書は、報告書①および違法な所持品検査によって作成された報告書②を疎明資料とする捜索差押許可状によって発見された結晶を鑑定したものである。よって、別の捜査が介在しているわけではなく、各捜査手続が一連のものとして連関しているから、関連性もある。
ウ 以上より、違法な所持品検査と鑑定書は密接関連性を有する。
4.よって鑑定書の証拠能力には排除法則が適用されるから、先行する所持品検査に重大な違法があり(①)、かつ将来の違法捜査抑止の見地から排除すべきである(②)として、証拠能力は否定される。
設問2
第1 捜査①について
1.厳格な法的制約(令状主義及び強制処分法定主義)に服する既存の強制処分との均衡から、「強制の処分」とは、前述と同様の規範㋐㋑によって決する。
⑴乙は、喫茶店内で他者から観察されることは許容しても、撮影されることまでは許容しないといえるから、乙の合理的に推認される意思に反する(㋐)。
⑵乙が撮影によって制約される権利は、喫茶店という開かれた空間においてみだりに体の一部を撮影されない権利である。この点、喫茶店は、室内やマンション内などの無関係の他人が立ち入ることが禁止されるような空間ではなく、誰でも入店することが許容される空間であるから、「住居」(憲法35条1項)のようなプライバシーが強度に保障される空間に比して、相対的に重要性が低いから、上記権利は重要でないから、②を満たさず、強制処分には当たらない。
2.強制処分にあたらないとしても、捜査比例原則の下、任意処分は「必要な」(197条1項本文)限度で、捜査の必要性と被侵害利益の内容・程度を比較衡量して、具体的状況下で相当な場合に限って認められる。
⑴まず必要性については、本件では、密行性の高い覚せい剤所持罪という社会的悪性の強い犯罪について、前科をもつ乙がその名義で借りる本件アパート201号室に複数の人物が出入りしている状況から、販売等を行っている高度の蓋然性があったといえる。そして、午前13時という視認性の良い日中に201号室から乙と極めて酷似する男性が出入りする事実が確認されているから、同一性を早急に確認する必要性があった。そして、捜査①の目的は、乙の私生活やその思想・嗜好等を把握するような私的領域を侵入するようなものではなく、専ら乙の首右側にある小さな蛇のタトゥーが上記特徴をもつ男性と同一であるかを確認するためであって、より制限的な手段がない以上は、高度の必要性が認められる。
⑵一方で侵害の内容・程度については、被侵害利益は、上記の通り、喫茶店という開かれた空間においてみだりに体の一部を撮影されない権利という重要性の低いものであって、かつ店内ではおよそ他者から観察されることが予想される首元を約20秒という短時間だけ撮影しているにとどまるからその制約態様も軽微である。さらに、喫茶店の店長から同意を得ていることから、店内で撮影されないという権利は、その保障程度は、かかる同意がない場合に比べて相対的に低いから、この点でも侵害態様は弱いものである。
⑶以上より、侵害の内容・程度に比して、その必要性が高度に認められるから、具体的状況下で相当であるから、任意処分として適法である。
第2 捜査②について
1.第1と同様の規範によって強制処分該当性についてみる。
⑴乙は、第1と同様、本件アパート201号室の玄関ドアやその共用通路を公道や住人から観察されることは許容しても、撮影されることは許容しないといえるから、合理的に推認される乙の意思に反する(㋐)。
⑵捜査②によって、乙が侵害される権利は、本件アパート201号室の玄関ドアやその共用通路を他者からみだりに撮影されない権利である。これは、捜査①でみた、喫茶店内のように誰でも出入りできる開かれた空間と異なり、アパート内という無関係の人間が立ち入ることがおよそ想定されていない空間における権利であるから、捜査①に比べれば、相対的に重要性が高いともいえる。もっとも、201号室の玄関ドアは公道側に向かって設置されており、公道を歩く人から十分に観察可能な位置にあったから、住居内(憲法35条1項)の様におよそ他人からの観察が予定されない私的領域に準じるような重要な権利に比して、相対的に重要性が低い権利である。
そうすると、Pが二カ月の間、毎日24時間も201号室の玄関ドアやその付近の共用通路を撮影視し続けるという捜査①より強度な侵害態様で捜査していることについては、任意処分における必要性及び侵害の内容・程度を基礎づける事情といして考慮すべきであって、強制処分該当性を左右する事情として考慮すべきでない。
よって、捜査②は強制処分にあたらない。
2.第2と同様の規範によって任意処分該当性についてみる。
⑴まず必要性については、本件では、乙とその他の男性らの共犯関係、搬入状況といった201号室を使ったシャブ販売という密行性・社会的悪性の強い組織的な密売の実態を明らかにするために捜査②が行われている。確かに、201号室の玄関ドアを同質に出入りする乙らに気づかれることなくこれを間断なく監視することは困難であるという事情がある。しかし、2ヶ月毎日24時間という捜査態様ではなく、短期間に集中的な監視を行うことや、せめて時間指定した上で長期撮影をするというより制限的でない捜査態様も考えられるから、必要性が捜査①ほど高度なものではない。
⑵一方で侵害の内容・程度については、捜査②のように二カ月間、24時間にわたって特定人物の住む玄関付近を監視すれば、その私生活が監視される結果、生活リズムや人間関係、趣味、さらには嗜好、思考といった内面に至るまでおよそ感知されるに至るともいえるから、侵害態様は強度である。
なお、ビル管理会社の承諾を得ていたとしても、管理会社はアパート内住人の上記権利につき処分権を有しないから、この点は結論を左右しない。
⑶以上より、必要性に比して、その侵害の内容・程度が強度であって、具体的状況下で相当であるとはいえないから、任意処分の限度を逸脱し、違法となる。
以上


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