答案構成20~25分? 8枚 予想評価E 作成日時2024.7.18 11:30 です。
【反省点】
・一番死んだ科目で、本気で再現答案を書きたくない。現実逃避したい。終わった。
・特に、設問1⑴は、無権代理でもないから相続と追認の話ではない、本人Aに全く帰責性がないから94条2項類適の話でもない、え?ナニコレって全く解放がわかずにパニックになって、結局Ⅽが善意無過失っぽい事情があるから、消去法で後者でゴリ押すことにした。問題なのは、他人物賃貸借はそもそも有効で、それをAに対抗できるかって切り口でみるべきところを、そもそも94条2項類適で有効といえるかという趣旨で検討しているから、ガチ終わった。救いようがない。なんか普通にみんなできそうなサービス問題な気もするからその意味でも萎える。まじ民法無理。なんなんwww。
・留置権については、債務の発生原因を無理やりゴリ押したのと、甲土地でなく、専ら乙建物との牽連性について検討しているので死んだ。
設問1⑴
第1 ㋐について
1.請求1の請求原因は、①A所有②Ⅽ占有③AB相続であり、㋐は②に対して、賃貸借契約(民法(以下略)601条)に基づく占有権原の抗弁としてなされている。同抗弁の要件は、ⅰ賃貸借契約の成立ⅱⅰに基づく引渡しであり、本件では、無権利者であるBがAの土地を勝手にⅭに賃貸しているから、㋐の帰趨は、契約①がAとの関係でも有効であるかにかかる。
⑴この点、AB間に通謀がないから、94条2項を直接適用はできない。
⑵もっとも、第三者が権利の外観を信頼して、真正権利者に外観作出について帰責性がある場合には、同条項の趣旨である権利外観法理が妥当するから、㋐権利の外観㋑真正権利者の帰責性㋒第三者の信頼がある場合には、同条項の類推適用によって、真正権利者に対抗できるものと解する。㋒は、㋑の帰責性の程度によって相関的に解され、自らの外観作出に関与していないが、それと同視し得るような思い帰責性がある場合には、110条を類推して、無過失まで要求される。
ア 本件では、登記名義人がAのままであるものの、Bが「Aは父であり、甲土地は既にAから贈与してもらったものだから心配はいらない」と言って、あたかも真の所有者がBであるように装っているから、賃貸人Bが所有者であるという外観が存在した(㋐)。
イ また、上記発言をうけて、Ⅽはなお不安がったことから、さらにBは甲土地の使用及び収益が不可能となった場合には、賠償額の予定として、損害賠償請求を300万円とする特約まで付してこれを強度に信用させている。そうするとⅭとしては、月額5万円の賃料5年分にあたる300万円もの特約を付すということはBが所有者である証拠であって、自らには5年間以内に不履行があれば逆に得をすると考えるのが通常であるから、不審事由が存在しないと解することは何ら不合理でない。よって、Aが真正権利者であることについて、善意かつ無過失である(㋒)。
ウ しかし、本件では、AがBの下に権利証や登記済証、実印といった重要書類等を預け放置したという事情がなく、何らの帰責性がないから、㋑を満たさない。
2.よって、ⅭはAとの関係で契約①の有効性を主張できないから、㋐は失当であり、請求1を拒むことはできない。
第2 ㋑について
1.㋐が認められないことから、㋑は契約関係を前提とする同時履行の抗弁権(533条本文)ではなく、乙建物について生じた損害賠償請求権を被担保債権とする留置権の抗弁(295条1項)の主張であると考えられる。
2.同抗弁の要件は、ⅰ債権の発生原因ⅱ債権と物の牽連性ⅲ債務の弁済期到来ⅳ占有が不法行為によって始まっていないこと(同条2項)である。
ア ⅰについては、確かに、300万円の損害賠償請求権は、上記の通り、Aに対抗できない契約①によって発生している。もっとも、Aは相続によって包括的にBの債権債務を承継する(896条)から、契約①の履行請求はされないものの、Bが負っていた損害賠償債務については承継する。よって、ⅰを満たす。
イ ⅱについては、損害賠償請求の債務者Aと、乙建物の引渡請求者Aが同一であるから、物を留置することで債務の履行を促すという留置的効力が働くので、ⅱを満たす。
ウ 損害賠償請求権は履行不能時に弁済期が到来するから、Aが契約①を認めず、Bに明け渡し請求した時点で弁済期が到来しているので、ⅲを満たす。
エ ⅳについては、確かに占有者Ⅽは無権利者Bから賃借権の設定を受けているものの、契約それ自体は有効であって、あくまでAに対抗できないだけであるから、不法行為(709条)に至るような事情がない本件では、ⅳも満たす。
3.以上より、留置権の抗弁は満たすから、㋑により請求1を拒むことができる。
設問1⑵
1.アについて
⑴ 請求2の根拠は、不当利得(703条、704条)に基づく賃料一部返還請求権であり、その要件は、ⅰ利得ⅱ損失ⅲⅰⅱの因果関係ⅳ法律上の原因がないことである。
⑵ Dが閉室の雨漏り修繕工事によって業者に30万円を支払ったことにより(ⅱ、ⅲ)、賃貸人Aはその支払いを免れている(ⅱ)。問題は、ⅳ要件をみたすかである。
⑶ この点についてAから、特に修繕工事を急ぐ事情はなかったから、Dはそもそも丙室の無断修繕権を有さず、ⅳが否定されると反論している。Ⅾとしては、「賃借物の修繕が必要である場合」(607条の2柱書)であるとして無権限修繕ではないと再反論する。本件では、「急迫の事情が」(同条2号)なく、また、Ⅾに何らの通知もしないまま、修繕工事を依頼しているから、「賃借人が賃貸人修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず…修繕をしないとき」(同条1号)のどちらにも当たらない。
⑷よって、Ⅾに無断修繕権限はなく、ⅳを満たさないから、請求2は認められない。
2.イについて
⑴請求3の根拠は、賃貸借契約に基づく必要費償還請求権(608条1項)であり、Ⅾは30万円の修繕費が「賃借物について賃貸人の負担に属する必要費」であるとして、賃貸人Aに対して「直ちにその償還を請求」しているものと考えられる。では、「賃貸人の負担に属する必要費」といえるか。
⑵この点、Aは請求3が認められるとしても報酬30万円は高すぎるのであり、自らが依頼していれば20万円で足りると反論している。「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」(606条1項)のであり、雨漏りがある物件では「使用及び収益」に支障が生じる以上は、かかる修繕費用は「必要費」である。もっとも、本件工事と同じ内容及び工期の工事に対する適正報酬額が20万円であることが確定しているから、30万円のうち、20万円が「必要費」になると解すべきである。
⑶よって、請求2は、20万円の限度で認められる。
設問2
1.請求4の要件は、ⅰI所有ⅱF占有であり、ⅱは明らかであるから、ⅰが認められるかが問題となる。
2.この点、Fからは、契約③が錯誤取消(95条1項2号)によって遡及的に無効(121条)となるから、契約④でIは無権利者Hから丁土地の所有権を有効に取得しないとの反論が考えられる。以下、錯誤取消についてみる。
⑴錯誤取消(95条1項2号)の要件は、ⅰ動機の錯誤(同号)ⅱ錯誤内容が表示されていること(同条2項)ⅲ表意者に重過失がないこと(同条3項)ⅳ重過失があるとしても、相手方も同一の錯誤に陥っていること(同条3項2号)である。ⅳは通常ⅲに対する抗弁として機能するが、構成便宜上、先回りして検討する。
⑵
ア Gは、丁土地の財産分与につき、Hに課税されるとの効果意思で、これをHに譲渡するという表示行為をしているから、効果意思と表示行為の不一致はない。もっとも、本来ならGは自分に課税されるところを、Hに課税されるものと誤解して効果意思を形成しているから、効果意思の形成過程に錯誤がある(ⅰ)。
イ 契約③では、Gは締結に際して、Hに課税されることを心配して、そのことを気遣う発言をしたのに対して、Hは「私に課税される税金は何とかするから大丈夫」と言ってこれに応えている。そうすると、契約③では、GH間でHに課税されるという「事情が法律行為の基礎とされていることが表示され」ており、その内容となっていたといえる(ⅱ)。
ウ 表意者Gは、代金2000万円にもなる丁土地の財産分与において、財産分与の課税対象者が自己でなく譲受人側であることを、税理士である友人に指摘されるまで気づかなかった。ネットが発展した現代社会では、通常人であれば、高額な財産分与によって課税される対象者及びその額について容易に知ることができるから、これをせずに調査確認義務を懈怠したとして、その注意義務違反の態様も甚大であるGには重過失がある(ⅲ)。
エ もっとも、契約③に際して、上記のように、「私に課税される税金は何とかする」といって、Hも自己にのみ課税されるものと理解した上で、締結に至っている。そうすると、GH間では相互に同一の錯誤に陥っていたものとして、重過失がある表意者犠牲のもとで相手方を保護すべき要請が働かないから、(ⅳ)を満たす。
⑶以上より、錯誤取消が認められる。
3.これに対してIは自己が善意無過失の「第三者」(95条4項)として保護されると反論する。
⑴ 「第三者」(同条項)とは、当事者及び包括承継人以外の者であって、錯誤によって取消された法律関係を基礎として新たに独立の法的利害関係を有するに至った者をいう。そして、同条項の趣旨が、取消の遡及効を制限して、善意無過失の第三者を保護して取引安全を図ることにあるから、「第三者」は取消前の者に限る。
⑵ 本件では、IH間の契約④は取消された契約③の前に締結されている。そして、Iは契約④締結時に、所有権移転登記を有するHから丁土地の使用に係る事情についてGから受けた説明の通り説明され、真正所有権者がHであって、Gではないことを認識していたといえる。また、その他Hが所有者でないことを疑わせるような不審事由が存在しないことから、無過失であるといえる。
⑶ よって、Iは取消前に錯誤により取り消された契約③を基礎に、独立の法的利害関係を有するに至った「第三者」として保護される。
4.
⑴そうすると、契約③の取消後に丁土地を取得しており、取消権者Gを起点として、IFはそれぞれ有効に丁土地の所有権を取得したものといえるから、二重譲渡類似の対抗関係となるから、Iが登記なくしてFに対抗するには、Fが「第三者」(177条)にあたらないことを要する。
⑵「第三者」(同条)とは、当事者及びその包括承継人以外の者であって、自由競争の枠内にある、当該物件について正当な権利利益を有する者をいう。本件では、契約⑤時点で、FはGから契約③にかかる課税について誤解して、既に取消したことを説明しており、その他Fが信義則に反するような背信的事情がない以上は、自由競争の枠内にある「第三者」にあたる。
⑶よって、Iは登記を備えない限り、請求4をFに対抗することができない。
以上
コメント