令和6年 司法試験 商法 再現答案

司法試験再現答案
OSHIN
OSHIN

答案構成25分 6枚程度 予想評価E 作成日時2024.7.18 13です。
【反省点】
・全体的に爆死。てかほんまに応用の議論が多すぎて来年でも解ける気がしない。
・監査役の条文を一通りみても、株主の行為を差し止めるなんて条文が全く見つからなくて、結局総会1の前に更に総会を開いて総会1するか決めるとかいう全く意味不明な論述をしたけど、384条、385条とかを類適とかするんか?いや取締役に対する差止の条文を株主に転用とかいう事例やったことないし、マジ知らん。爆死。
・利益供与についても、やってるのが会社じゃなくて乙社負担ってのがうざすぎた。「株式会社が」って要件で検討するんか知らんけど、違法性阻却の要件検討につられて殆どそれに触れなかったので、爆死。
・設問2も安定の爆死。主要目的ルールとその例外を論じるのはわかったが、株式併合無効の訴えとか知らんから、発行後だけど不公正取消でゴリ押したので爆死。


設問1 小問1

1.まず、Ⅾは、「必要があると認めるとき」(383条1項)であるとして、Aら取締役に対して取締役会の招集を請求(同条2項)した上でそれに出席し、株主でもあるAらに「業務執行の決定」(362条2項1号)の一環として、総会1に先だって総会1を開催するか否かを議題(以下「本件議題)とする株主総会(以下、「先行総会」)を招集決定(296条3項、298条)することを促すべきである。

2.そして、先行総会においても、総会1を開催すべきであるとして出席株主の過半数を超えて賛成決議(309条1項)がされれば、監査役Ⅾ、Aら取締役としては、それ以上総会1を事前にやめることを求めることはできない。というのも、会社は権限の分配上、最終的には株主のものであって、本件各議題を内容とする本件総会の開催が適切であると株主自身が判断したのであれば、これに従うべきだからである。

3.なお、先行総会においては、株主乙社が「特別の利害関係を有する者」として「議決権を行使」することが取消事由を構成するから、乙社を除く株主の総意を知ることができる。

設問1 小問2

1.Eは甲社の「株主」(831条1項柱書)として、決議取消の訴えを総会1決議から「3か月以内」に提起し、120条1項という決議方法の「法令」違反(同条1項1号前段)を主張する。以下、当否を検討する。

2.
⑴利益供与(120条1項)の要件は、ⅰ「株式会社」がⅱ「株主の権利の行使に関し」ⅲ「財産上の利益の供与」をすることである。ⅲについては、㋐供与の目的が社会通念上正当であり、㋑各供与額が相当で、㋒供与総額も会社の資産関係に影響を与えないなど相当なものであれば、違法性が阻却されるものと解する。

3.
⑴本件における商品券送付等に要した費用は全て乙社負担であるが、実質的には「株式会社」甲社が株主乙社に発令の総会1によって行っているとみれるからⅰを満たす。
⑵本件では、本件書面に1000円相当の商品券を、『賛』の欄に〇印をつければ送付する旨の記載がされたことにより、総会1では約75%の賛成により可決されたこと、例年の定時総会よりも約30%増加し、行使された議決権のうち甲社が提案した議題に賛成した者の割合よりも高いものであったこと、白票が存在しなかったことからすれば、商品券贈呈による効果が株主の議決権行使に少なからず影響を与えたことがうかがえるから、ⅱもみたす。
⑶商品券1000円は明らかに「財産上の利益」であるからⅲもみたす。

4.
⑴一方、供与額それ自体をみれば、1000円程度とそこまで高価なものでなく、株主数が1000名の甲社では、総額も100万円にとどまる。また、商品券取得、送付等の費用は全て乙社負担であるため、これらの供与によって甲社の資産に何らかの影響を生じることはない(㋑㋒)。
⑵もっとも、本件では、議決権行使自体を増やす目的ではなく、専ら株主乙社自らが希望する本件各議題を通すことを目的として総会1を開催している。また、本件書面記載内容についても、いずれか賛否を指定しないというより制限的でない手段があるにもかかわらず、自分提案の議題が通るように「賛」と記載することを条件としていることから、その目的が社会通念上不当であるから㋐をみたさない。

5.以上より、違法性阻却はなく、上記Eの主張が認められる。

設問2

1.丙社は甲社「株主」(831条1項柱書)として、決議取消の訴えを総会2決議(令和5年12月11日)から「3か月以内」に提起し、決議方法が「著しく不公正」(同条1項1号後段)であるとして取消し、本件株式併合が無効であると主張する。以下、当否を検討する。

2.
⑴「著しく不公正」か否かについては、決議2の内容が本件株式併合及び第三者割当てを含むものであるから、募集株式発行における差止請求(210条2号)における「著しく不公正」と同様の規範によって判断するべきであると解する。すなわち、会社の所有者は究極的には株主であるから、権限分配上、取締役はその権限確保・争奪等を主要目的とする株式発行等を成し得ない。そこで、資金調達目的と争奪目的を比較衡量し、後者を主要なものとする場合には、原則として「著しく不公正」にあたると解する。
もっとも、当該株式発行等が企業価値を毀損し、会社ひいては株主の共同利益を害するような場合には、例外的に許容されるべき場合がある。具体的には、㋐会社が食い物にされているという必要性がある状況下で㋑当該発行手続等が相当性を有する場合には、例外的に許容される。

⑵本件では、本件計画の主導的地位にあるAが「甲社独立性維持のためには、丙社を閉め出すべきである」との意見の下、取締役BCらに対してもこれに賛同することを促していた。もっとも、必ずしもAの見解が経営上正当だったかは疑わしく、Gが考えていた甲社を丙社の完全子会社にする案も、Aの案も、客観的にどちらが優れているか見解の分かれる問題であったことから、類型的にAが自らの権限確保や争奪目的のために行った危険性がある。実際にBはA案を聞く前にG案を聞いて、当初はG案もあながちおかしくないとの意見を抱いており、これは経営の専門家たる取締役間でも見解がわかれるものあったのに、Aが甲社独立のためと強く主張したことによってBCらは賛同したにすぎないともいえる。そうすると、本件計画は、資金調達や会社経営上の合理性を追及する目的以上に、Aらが取締役としての地位権限を維持する目的でなされたと解するのが相当であるから、原則として「著しく不公正」な決議がされたといえる。

⑶もっとも、例外的に許容されないか。
Gの案は、Gが甲社を丙社の完全子会社とした上で将来的には丁社と合併させて、甲社の技術やライセンス等を一方的に提供させる方がうまくいくとの考えによって策定されたもので、専ら甲社ではなく自己の利益を図ることを目的としているといえる。そうすると、甲社は丙社の利益のためにその食い物にされている状況下にあったといえる(㋐)。
また、総会2でGが「なぜ再建に協力した我々だけを排除するのか」と言ったことに対して、Aは「御社とは甲社の経営について深刻な見解の相違があるため、我々経営陣が退くのでなければ最終的には退出していただくほかない。」と答えて、その最終的な決定権を株主に委ねる発言をしている。その結果、丙社が反対したものの、他の株主全ての賛成によって甲社提案通りに適正な総会決議によって可決されたことにてらせば、株主共同の利益のために、株主自身が丙社排除を望んだものとして、その相当性が認められる(㋑)。
よって、本件株式併合は例外的に許容される。

3.よって取消事由が存在しないから、丙社の主張は認められない。

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