東北大法科大学院2023 再現答案 民法

ロースクール入試再現答案

※問2や問3は大きく間違えている箇所があると思いますが、訂正せずに当日書いたであろう内容をそのまま再現しております。最後に問題に関する所感を述べていますので、併せてご覧いただければ幸いです。

【問一】無権代理人と相続について(12行程度)

1.CはAに対して、所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記手続請求をする。その要件は、①Ⅽの所有②Aの妨害である。本問、Bの甲建物売却はⅭから代理権を付与されたものでないため、追認(116条1項)ない限り、無権代理となる(113条1項)から、上記売却の効果は所有者Ⅽに帰属(99条1項)しないため、Ⅽに所有権がある(①充足)。また、Aは登記を了している(②充足)。

2.もっとも、Ⅽは父Bの法的地位を相続によって包括承継する(896条)から、無権代理人たるBの地位が融合し、信義則上、追認強制させられないか問題となる。この点、相続によって、無権代理人たる地位が融合すると、相続という偶然の事情によって相手方を利する結果となり、妥当でない。また、実質的にみても何の帰責性もない本人に酷である。よって、かかる地位は併存すると解すべきであり、本問Ⅽは追認拒絶し得るから、上記請求は認められる。

3.尚、ⅭはAによる無権代理人の責任に基づく損害賠償請求は免れない。

【問一】無権代理人と相続について(12行程度)

1.支払場所について

本問では引渡し場所について取決めがないから、「特定物」たる甲絵画の「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないとき」(484条)に該当するから、「債権発生の時にその物が存在した場所において」(同条)することとなる。本問では、AB間契約時に甲絵画はAが自宅で保管しているから、A宅にてBは支払いすることとなる。

2.支払期日について

本問では、代金支払の日時の定めがないから、「債務の履行について期限を定めなかったとき」(412条3項)に該当するから、「履行の請求を受けた時から」支払い債務が履行遅滞となるため、Aから支払請求された時点が支払期日となる。

【問三】物権的請求権による費用の損害賠償請求と工作物責任について(12行程度)

1.AからBに対して所有権に基づく妨害排除請求権としての石及び土砂の撤去請求をすることができるのは問題ない。もっとも、その費用につき損害賠償請求をするにあたり、本問では、降雨による不可抗力によって損害が発生しているから、Bの過失が認められるかが問題となる。

2.この点、本件石垣が「工作物」(717条)に該当すれば、工作物責任をBに問うことができる。同条の要件は、①「土地の工作物」②「設置又は保存に瑕疵があること」③「他人に損害を生じた」ことの3点である。本問では、本件石垣がB所有の乙土地上に接着し、人工的に作出された定着物である(①充足)。また、本件石垣に上端から下端まで複数の亀裂が走っており、Aの修理要請があったにもかかわらず、これを漫然と放置し(②充足)、その後の降雨によって甲が埋まり、Aが撤去費用につき負担するという損害が発生した(③充足)。以上より、717条の要件を充足するから、Aは撤去費用につき、Bに対して損害賠償請求をすることができる。


民法についての所感

まず、問題を一見して、大分傾向変わったなwという感覚でした。過去問を見ても、例年5問程度だったものが3問だったので、こりゃ一問あたりの配点がでかくてミスれないじゃん…。って逆にプレッシャーでしたね笑。

問一は、アガルートの重問・論証集にもがっつり記載されていた有名論点だったので、それなりに書けた感がありました。

問二は、条文ゲーなところがあり、場所については484条で良かったと思いますが、支払い時期については、全く条文知識がなかったもので、履行遅滞の条文持ち出してごり押してます笑。友人に聞いたら、573条とか見たこともない条文が正解なようで、これは完全にお手上げでした。

問三は、最初、物権的請求権と費用負担の問題か?と思いましたが、よく問題文みると、「撤去費用について損害賠償」となっていたので、単なる費用負担の問題ではなく、「損害賠償請求」ってことで頭が混乱したのを鮮明に覚えています笑。論証集にも費用負担に関しては修正行為請求権説的な内容が書いてあったのを覚えていましたが、今回は問題文にも過失事情が多数&石垣=工作物?って思考回路で、いきなり717条に飛びつくという暴挙に出てしまいました。挙句の果てには、717条特有の所有者の無過失責任に一切触れず、過失認定を広げて論じてしまっています、バカですね。友人に相談したところ、おそらく717条の無過失責任で請求認めるのが妥当だけど、それだと行数足りないから、709条より立証責任の点で有利なことや、物権的請求権の費用負担について多少触れた上で述べるのが正解ルートではないかとのことでした。

まぁ、問2,3については、重問や論証集に詳細が載ってない内容だったので、みんなできないっしょメンタルで精神を安定させました。それでもあとから無過失責任言及できなかったの痛すぎだろって大分落ち込みましたが笑。

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