東北大法科大学院2023 再現答案 民訴

ロースクール入試再現答案

※当記事は、あくまで再現ですので、誤り箇所が多数見受けられると思います。参考程度にご覧いただければ幸いです。訂正箇所については、是非コメントしていただければと思います!

【問一】判決有効と確定判決それぞれの訴訟法上の効果について

判決が有効に成立すれば、これを不適法として訴えを提起することができなくなるが、判決が確定するわけではないため、一方当事者が当該判決に対して不服がある場合には、上訴によってこれを争うことができる。一方、確定判決がなされた場合には、既判力(確定判決に与えられる通用力ないし拘束力)、執行力(確定判決に基づく強制執行力)、形成力(形成訴訟の場合には、原告の主張通りの形成権の発生)が発生し、訴訟当事者の権利関係が終局的に確定するから、上訴ではなく、これに対する不服は、再審事由(338条)がある場合にのみ許される。

【問二】確定判決の主観的範囲、客観的範囲について

1.主観的範囲

主観的範囲とは、既判力を生じる人的範囲を指し、原則として115条1項1号にある「当事者」に生じるが、例外的に同条項各号に該当する者にも拡張が認められる。これは既判力の発生根拠が、十分な手続保障による自己責任と、紛争の終局的解決にあることから、かかる観点から既判力を拡張するものである。本問前訴判決においては、原告Y、被告X及びZが訴訟「当事者」(同条項1号)となっているから、ⅩYZそれぞれに上記判決効が生じる。

2.客観的範囲

客観的範囲は、時的限界と物的限界に分けられる。前者は、既判力の基準時(事実審最終口頭弁論終結時)以前に主張可能であった事実を既判力の遮断効によって遮断するものである。これは、基準時以前は当事者は資料・証拠を十分提出可能であるし、裁判所もこの時までに提出された資料・証拠を基に心証を形成するからである。後者は、既判力を生じる訴訟物の範囲、すなわち、「主文に包含するもの」(114条1項)を指し、判決理由中の判断にこれは生じない。これは、紛争解決、審理の簡易化・迅速化、当事者の手続保障の観点から、主文にのみ既判力を認めれば十分だからである。本問前訴判決における訴訟物は、YのX及びZに対する甲所有権であり、全部棄却判決がなされているから、Yの甲所有権不存在につき既判力が生じる。

【問三】確認の訴えの審理と判決方法

まず、前提として、確認訴訟の審理方法について述べる。
確認訴訟は、確定判決に既判力しか認められず、執行力、形成力を伴わないから、確認訴訟により紛争解決をする必要性・実効性に乏しく、その確認対象も無制限に広がり得るから、確認の訴えの利益が認められる場合にのみこれを認めるべきである。すなわち、①審判対象の適切性(当該訴訟物が確認訴訟よることが適切か)②審判方法の適切性(確認訴訟によることが適切か)③即時確定の利益(原告の地位・利益に不安が現実化しているか)の3要件を満たすかをまず審理し、これが認められた場合にのみ判決を成すべきである。
また、訴訟形態に関して、訴訟物の実体法上の管理処分権が訴訟当事者間で合一に確定すべき場合には、固有必要的共同訴訟(40条)となり、かかる権利を有する者すべてを訴訟に参加させれば、訴えが適法となる。

(1)共有持分権確認請求

後訴の訴訟物は、不動産甲についての4分の一の共有持分権であり、甲の持分権の帰属については、ⅩYZで合一確定すべきであるから、固有必要的共同訴訟となる。
そして、確認の訴えの利益についてみるに、本請求によれば、確かにYが望む甲の共有持分権帰属につき既判力が生じるが、甲の遺産帰属性については既判力が生じないため、Yの主張に適さないし、紛争の抜本的解決にも資さない。よって、上記②を充足しないから、確認の訴えを欠く。

(2)遺産確認請求

審判対象が甲の遺産帰属性であることから、過去の法律関係の確認となり、原則として上記①を満たさない。もっとも、遺産帰属性が明らかになれば、そこから派生する現在の法律関係も明らかになるから、例外的に①を満たすと解する。遺産帰属性に既判力が生じれば、抜本的解決に資するから、②も満たすし、他の共同相続人が遺産帰属性を争い、Yの権利に不安が生じている以上、③も充足する。

民訴についての所感

今回は事例が比較的長文であり、内容も判決効、既判力、確認訴訟について広く聞いてくるものだったので、かなり焦りました笑。
各問の結論に不安があったので、既判力や確認の訴えの前提となる話を述べてわかっているアピールに徹しました笑。なので、わりと長文になってしまい、後半時間足りず、途中答案モドキで提出したのを覚えています。

問一は、そもそも判決有効の場合って判決効生じるんだっけ?確定判決とどう違うんだっけ?ってレベルでわからなかったので、確定判決の方はしっかり説明して、判決有効についてはそれっぽいことを書いて済ませました笑。

問二は、論証集の巻末にある一行問題対策をまんま暗記していたので、それぞれ丁寧に説明することに努めました。

問三は、どのように審理して判決するかなんて考えたことなかったので、多分確認の利益、遺産確認請求、固有必要的共同訴訟あたりが問題になるのかなーと思って、その辺の覚えていたことを長々と書いて、適当にあてはめました。めっちゃ焦ってたので、判決についてノータッチだったことを後から気づいて萎えましたね。

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