※当記事は、あくまで再現ですので、誤り箇所が多数見受けられると思います。参考程度にご覧いただければ幸いです。訂正箇所については、是非コメントしていただければと思います!
第一 捜査①の適法性
1.Pらは、ごみ袋①の中身を確認せずにこれを領置しているが、捜索差押許可状無くしてこれを適法に行うには、かかる領置が任意捜査(197条1項)の限度で行われている必要がある。よって、以下、任意捜査該当性につき、検討する。
2.任意捜査であっても、被処分者のプライバシー権等の人権侵害のおそれがある以上、捜査に「必要な」限度で許される。具体的には、当該具体的状況下における、当該捜査の必要性、緊急性、事件の重大性、嫌疑の程度、捜査目的と犠牲となる権利の衡量等の諸事情を総合考慮して、当該捜査によることが社会通念上許容し得るものであることを要する。
⑴本問における捜査①の目的は、暴力団組員による組織的な拳銃密売という極めて重大犯罪の証拠を収集することにあり、逮捕された複数の顧客いずれも黙秘していること、それまで捜索差押許可状を請求し得るだけの有力な証拠を収集できずにいたことから、ごみ袋を持ち帰る必要性は見受けられる。また、上記のように犯罪の重大性に鑑みれば、密売ルートを解明することは、緊急性を要するものである。更に、ごみ袋①が放置された場所は、公道上に設置されたごみ集積所であり、通常、そのような集積所にごみを投棄することは、即日ごみとして収集されるものであって、所有権を放棄したとみるのが相当であるから、Ⅹのプライバシーの要保護性は著しく減退する。一方で、上記捜査目的を達成する必要性は大きい。
3.以上より、Ⅹに対して意思を制圧して捜査目的を達成するような要素もない以上、捜査①が任意捜査の限度を超えるものとはいえず、適法である。
第二 捜査②の適法性
1.第一と同様の規範をもって、捜査②の任意捜査該当性につき検討する。
2.設問2では、集積所がマンションの敷地内に設置されている点が特に問題となる。
確かに、ごみ袋②を領置する必要性、緊急性は第一と同様認められるし、丙マンションのごみ集積所は、居住部分の建物等とは少し離れた位置にあって集積所の扉は施錠されておらず、誰でも出入りが可能な状態であるから、第一と同様、Ⅹは所有権を放棄し、これを断りなく領置してもⅩのプライバシー権を侵害することはないように思われる。
もっとも、居住者Xがごみ②の所有権を放棄しても、マンションの敷地内にある集積所に一定時間投棄され、その処分方法や集積所の管理がマンションの管理者に任されている以上、その段階での所有権は、未だマンションの管理者にあるというべきである。また、ごみ袋②は未だ丙マンション専用の集積所としてその敷地内にある以上、公道上の集積所と異なり、マンションの居住者以外の者が立ち入ってこれを持ち出すことが社会通念上許容される程度にXのプライバシーの要保護性が減退しているとはいえない。さらに、上記のように「誰でもはいれる」等を主な理由として、かかる捜査が無令状で許されるとすると、マンションの管理権者の意思に反する不当な立ち入りとして、刑法130条にも抵触しかねないものである。
3.以上より、かかる捜査が社会通念上許容し得るものとはいえないから、任意捜査の限度を逸脱するため、Ⅹの意思を制圧し、強制的に捜査目的を実現するものとして、強制捜査(197条1項但書)に該当し、これを捜索差押許可状なくして行った捜査②は違法である。
刑訴についての所感
任意捜査の限度を聞かれているのはなんとなくわかりましたが、領置の条文、判例ともに把握してなかったので(それでも受験生か)、条文は明示せず、単に任意捜査の限界の論証を定立して当てはめを充実させれば大丈夫と自己暗示して、乗り切りました笑。この事案に関連するものが重問や論証集にも載ってなかったので、多分みんなできないから大丈夫メンタルです。
これは個人的な感想ですが、刑訴って一番コスパ悪い気がします。最初は論証集6科目の中で一番薄くて覚えるの少なくてラッキー的なことを思っていましたが、伝聞が時々出題される以上は、捜査、公判、証拠って一応満遍なく対策しないといけないし、毎年事案も長いし、内容もかなり難しい…。捜査だけ出します!って言ってくれれば大分楽なんだけどなぁ笑。
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