※当記事は、あくまで再現ですので、誤り箇所が多数見受けられると思います。参考程度にご覧いただければ幸いです。訂正箇所については、是非コメントしていただければと思います!
【問一】財産引受について
財産引受け(28条2号)が、一定の事項を定款に記載又は記録しないと効力を生じないとされた(相対的記載事項)のは、当該引受け物の価値を発起人が過大評価し、会社設立の財産的基礎に損害を及ぼすおそれを可及的に防ぐ共に、現物出資(28条1号)規制の潜脱を未然に防ぐことにある。財産引受は現物出資と異なり、会社設立に当たって法律上・経済上必要でなく、定款への記載を条件として例外的にその効力を認めるものであるからである。
【問二】代理人を株主に限る定款の効力について
かかる定款の趣旨は、総会屋等の第三者が総会を撹乱するおそれを未然に防止し、もって会社・株主の利益を保護することにある。従って、第三者がかかる恐れを生じさせないことが明白な場合には、株主が唯一会社経営に参画するための機会として保障された議決権の行使という権利の重要性に加え、毎回株主本人が議決権行使を強制するのは、現実的にみて困難なケースが多々想定されるから、これを認めることは定款の趣旨に反しないとの考慮に基づいている。
【問三】重要な財産の譲受に要する手続きについて
Y所有の不動産が「重要な財産の」「譲受け」(362条4項1号)に該当すれば、代表取締役Xが独断でこれを譲受けることはできず、取締役会(同条項柱書)を招集し、取締役会の二週間前までに各取締役に通知する必要がある(368条)。かかる該当性判断については、不動産が通常、多額の費用を伴う「財産」であるから、会社の資産に対する影響、当該不動産の評価額、会社財産に占める割合、従来の取り扱い等、諸事情を総合考慮する。
【問四】株主代表訴訟の「責任」の範囲について
会社が馴れ合いによって、役員等に対して責任追及を怠る可能性があるのは、役員等が会社に対して負う一切の債務についていえることである。もっとも、株主代表訴訟が、会社役員としての責任を追及するものであって、文言上も「役員等の」(847条柱書)とされていることから、「責任」とは、役員等がその職務執行に際して負うに至った債務一切を指すと解すべきであるが、無制限にこれを認めると「責任」が過大となり、酷である。よって、職務執行と何ら関連せずに役員等が負うに至った損害賠償責任等は「責任」に含まれないものと解する。
【問五】略式組織再編のみ「著しく不当」が差止事由となる理由について
利害関係が相対立する再編当事者においては、再編対価の多少の不当性は甘受すべきであるし、不当性の判断には明確な基準を欠き恣意に流れやすい。もっとも、吸収合併契約等の株主総会決議による承認を要しない場合である略式組織再編(784条1項、796条1項)に該当する場合には、再編当事者の一方が特別支配会社(株式会社の総株主の議決権の90%以上を有する会社)であって、経済的一体性がり、利害関係が相対立するおそれが低いく、不当性を甘受すべき理由がない。また、対立関係にない以上、不当性判断も恣意に流れる恐れが低い。よって、かかる差止請求が略式組織再編に限定されている。
商法についての所感
問5を除き、全体的に問題レベルが容易化した気がしました。というのも、問1から4までは、論証集・重問に乗っている典型論点で、おそらくどの受験生も一度は触れたことのある論点だったのではないかと思いました。そのため、これは出来ても差がつかないと思いつつ、行数制限を気にしながら要点を絞って書くこと、問毎の質問形式に整合するように答えることに注意して解答しました。
問二は、細かいですが、定款による議決権制限は、「合理的理由による相当程度の制限」という有名フレーズを入れたかったですね。
問三は、未だに重要財産の譲受で良かったのか怪しいです(間接取引がよぎりました)が、要する手続がメインなので、多分取締役会必要という結論で大きく間違うことはないかなと。
問四は、論証集で直前に見ていましたが、うっすらとしか覚えてなくて、わりと薄っぺらいこと書いてます笑。
問五は、みんな大嫌い組織再編ってことで、殆ど勘で書きました笑。略式再編ってえーっと…。差止事由あるんだへぇー…。ってレベルだったので、本当に再編は復習しないとまずい。いや本当にまずい。
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